読み物

エレン「アニに恋をした」

何はともあれこれはチャンスだ。そう思った俺はその日の大半を医務室のベッドで過ごす羽目となってしまった。

「なぁエレン、もうアイツに関わるのは止めたらどうだ?」
医務室に運び込まれた俺を心配したライナーがそう言う。
なんでも『今回は今までの中で一番高く』放りあげられたそうだ。

ったく、アニの奴。あんな小さな身体でどれだけの力があるんだ。

「お前の強くなりたいって気持ちは分かるさ。けど理想と現実は違うんだからよ?・・・」

俺は一も二もなく反論する。
「だからって諦めちゃ一生、勝てないだろ!見てろよ、今度は必ず・・・」

息巻く俺の言葉にライナーの隣にいたベルトルトが苦笑いする。
「そう言えるだけでもエレンは強いよ。僕なら最初からアニと戦おうなんて思わない」

「まあまあ、エレンは言い出したら聞かないからね」
そう言うアルミンも苦笑いだ。

ミカサに至っては「怪我をしては元も子もない」だと。

俺は何も言わずにふくれっ面を見せつける。
そう言われれば俺が俄然やる気になるって事をお前達にみせてやるからな。
そう思うと俺は握り拳に力を込めた。

悔しさで夕食を食べる気分にもならなかっ俺は何をするでもなく外に出た。

夕日を背に修練場へ行く。ただ何の気なしに足が向いただけだった。
足がぴたりと止まる。

アニが居た。ただ黙々と一人、修練に打ち込んでいた。
思わず俺は岩影に身を隠した。何となく今は顔を合わせにくい・・・というよりも悔しいからだ。

観察と言えば聞こえが悪いが俺はアニの見せる動きの虜になっていた。
1つ1つの様が流水のように滑らかで素人目にも洗練された動きだいうことは明白だ。

一通りの練習が終わったかに見えた。
その時。
「いつまで隠れているつもり?」
アニが俺の方に向かって言った。

俺は突然の呼びかけにぎょっとしていた。背中を嫌な汗が伝う。
だが、理由はどうあれ事実にはかわりない。素直に謝ろうと岩肌から乗り出した。

「・・・あんただったの」

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