読み物

エレン「アニに恋をした」

窓際のテーブルの端で一人、朝食を食べるアニに話し掛ける。
「ようアニ、おはよう」

仏頂面のアニはムスッとした顔をする。
「・・・朝からうるさい」

かなり寝起きが悪いようだ。寝ぼけ眼にうつらうつらとしている。

「半分寝てるみたいだな」

「そりゃどうも・・・」

どうにも虫の居所が悪いらしい。

「ま、いいか。横、座るぞ」

「・・・どうぞ」

淡々とした会話だ。ミカサも無愛想な類いだがアニは違う類の愛想の無さだった。
人に対して一線を引いていると言うか、壁を作っているというか・・・

俺がそんな事を考えている間にアニは食べ終わったのかさっさと席を立とうとする。

「あ、ちょっと待ってくれ!」

慌てて引き止める俺にアニは露骨に嫌そうな顔をする。

「・・・まだ何か?」

取っつきにくい奴だなあと思いながらも俺は用件を伝える。

「あのさ、よかったら今日の対人格闘の訓練、俺と組んでくれよ」

アニはそれまで眠たそうだった眼を瞬時に起こした。
平時は何事に対しても無関心だが『格闘』に関してだけは違うみたいだ。

「別に構わないよ」

アニはそれだけ言うと踵を返して歩いて行った。

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